YouTubeより HORIBAWonderChannel


堀場製作所    HORIBAWonderChannel より引用 
　
　日本の沿岸部に生息する大型のイカ、アオリイカ。　
　イカの仲間は、体の大きさに比べて目が大きく、
　海に生きる生物としては例外的に、優れた視覚を持っている。
　特に、波長四百ナノメートル付近の、青に近い緑色の光に対する
　感度が強く、深海に差し込む僅かな光でも、獲物を見つけることができる。
　また、無脊椎動物としては大きな神経節も有しており、
　単に目がよいと言うだけでなく、高度な情報処理を行っているとも考えられている。
　イカは陸上における猛禽類のような、優れたハンターなのだ。
　
　イカの仲間は、昼間は深海や海底の砂地に潜んでいることが多く、
　生態は不明な点も多いが、アオリイカは浅瀬に生える海藻に産卵する習性があり、
　繁殖行動もよく研究されている。
　
　五月頃、水温が二十二度に近づくと、磯にアオリイカが集まりはじめる。
　オスはメスの傍を離れず、他のオスが近づくと素早く追い払う、威嚇行動を取る。
　この時、身体の色が変わることも多いが、体色を変化させるのは、
　相手に自らの存在を誇示するためと考えられている。
　頃合いを見て、オスはメスに腕を伸ばし、精子の入ったカプセルを渡す。
　カプセルを受け取ったメスは、産卵場所を確かめ、
　一回の産卵で千個ほどの卵を産み付ける。
　ただし、一度に千個の卵を産むのではなく、三時間から四時間かけ、
　何度もオスとの交接を繰り返し、産卵を行う。
　
　メスは、何度も海藻に近づくが、毎回産卵を行っているわけではない。
　盛んに腕を伸ばし、何かを確めるような行動を繰り返す。
　実際に産卵した瞬間は、メスも身体の色が一瞬濃くなる。
　アオリイカは、人が埋めた魚礁にも産卵する。
　だが、どのようなものにでも卵を託すのではなく、台風の大波が押し寄せても
　倒れることのないもの、海上に打ち上げられることが無いものにしか産卵しない。
　その違いを何で確かめるのか、人の目では確かめられない何かが、
　イカの目には映っているのだろうか。
　
　瞬時に身体の色を変えるメカニズムや、水中での平行感覚を保つメカニズムなど、
　視覚と関わると考えられている機能にも解明されていない部分がある。
　まだ発見されていない未知なるセンサが、イカには備わっているのかもしれない。


「水中カメラマン豊田の釣魚水中生態学入門」さんより
「その9　アオリイカの産卵について」
all.daiwa21.com/fishing/column/suichuuseitai/
contents/009/index.html
「水中カメラマンが見た釣魚考撮」
水中カメラマン豊田直之さんが海の中で見た
魚本来の行動をリアルに紹介されています。
「釣魚考撮」　産卵、捕食、餌木について　
all.daiwa21.com/fishing/column/kousatu/contents/
009/index.html
「釣魚考撮」　アオリイカの捕食について
all.daiwa21.com/fishing/column/kousatu/contents/
030/index.html
「釣魚考撮」　マルイカと似てる？イカパンチの秘密
all.daiwa21.com/fishing/column/kousatu/contents/
044/index.html　

現在は更新されていないようですがが、水族館での飼育、
実験にてアオリイカの生態に迫っています。
記事数は8記事だけですがすべて大変興味深い内容です。
「アオリイカの生態研究所」さんより
plaza.rakuten.co.jp/aoriken/diary/